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廃プラ施設の何を懸念していたのか(2)

 前回に引き続き、2004年7月1日に申請した「廃プラチックリサイクル施設を操業させない仮処分」に関連して住民が大阪地裁で行った証言内容を紹介する。


■牧隆三さん(当時の「守る会」代表・あさひ丘自治会長)の陳述

 

(前略)

 自治会の組織の実務を担っているのはほとんど主婦です。主婦は年老いた親と子どもを抱える家庭が一般で、多忙な家事のかたわら自治会の実務をこなしてくれるのです。

 

 廃プラって何?杉並病って何?市街化調整区域て何?と主婦の疑問が必然的に大きくなり、自治会としては、この会員に伝播していった不安と疑問にどう答えるべきかということが課題となり、自治会長の有志が会合を重ねるに及び、主婦を母体とした会員の不安と疑問に応える方針を立てることとなりました。

 

 まず、廃プラの科学的知識を深めるために専門家を招き、その性質を正しく理解する。この知識を活用して、正しい理解者を多く増やして廃プラ建設に反対する署名運動を起こし、行政に方針の是正を要求する。府や市へ要望書を提出し、開発・建築両審査会へ審査請求書を提出するなど市民啓蒙活動を始めることになったのは、4月の下旬からです。

 

 と同時に、各自治会においても臨時の総会を行うなど状況を説明し、各様に廃プラ施設建設に反対する決議が行われ、その資金やカンパを募って活動費を補ってゆきました。

 

 シンポジウムは第一回を市民会館小ホールで5月9日(日)夕刻に開催、約350名が参集し、7月17日(土)には市民会館大ホールで約700名が参集、たいへんな成功をおさめました。

 

 一方、シンポジウムにおける専門家の講演内容を報じたチラシを多数作成して、これを各駅々で宣伝、チラシの配布、署名活動などを行い、6月8日に寝屋川市長へ80,449筆を提出、最終7月30日には85,848筆になりました。このように自治会の運動、主婦を母体とした市民運動が、昨年12月には寝屋川市議会への署名運動では再び8万筆を越える筆数と、寝屋川市民のみで58,000筆を超える勢いとなったのです。

 

 市議会への請願の結果は否決されたとはいえ、市会議員の多くの人々にさまざまな動揺の色が表れだしたことは特筆に価します。

 

 現在4市合同の廃プラ圧縮こん包施設建設に係わる都市計画決定の手続きが行われていますが、施設組合が設置した専門委員会において、東京杉並区における杉並病と同質の毒性が寝屋川市の廃プラ梱包ゴミのサンプル実験調査において証明されて来たことを聞くと、当然の事ながら、債務者の無謀さと無責任さに憤りを新たにします。

 

 こちらは杉並のゴミに対する圧縮スピードより速く、それに裁断・破砕と溶融が加わるという工程である以上、これが大気汚染につらなる原因となることは明らかでありましょう。

 

 債務者が日本初で最大の廃プラ処理施設工場であると誇りをもって言明される以上、周辺住民の不安、危惧に応えて、いかに施設が安全であり、心配はいらないかということを事実でもって証明をする義務があると思います。そういった配慮に全く欠け、最近の化学の認識にも疎い、業者としての謙虚さを欠く姿勢を見るにつけ、断固4月からの操業を停止して頂きたいと熱望いたします。


 次回は上記陳述でも言及された、仮処分申請後の2004717日に行われたシンポジウム報告を紹介し、その次に仮処分の結果と問題点を紹介する。