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廃プラ施設の何を懸念していたのか(1)

 前回記事ではリサイクル・アンド・イコール社(以下、イ社)の廃プラチックリサイクル施設を操業させない仮処分を大阪地方裁判所に申請したが2005年3月31日付で却下されたことと、寝屋川市長に対し建築許可・開発許可に対する再審査請求を行い、それに対する馬場市長の弁明書が2004年5月31日付で届いたことを報告した。さらに市長の弁明がどのような内容だったかを紹介した。

 

 ここまで住民がイ社の操業に対してどのような点を懸念していたのか、具体的に紹介していなかった。今回からは2004年7月1日に申請した「廃プラチックリサイクル施設を操業させない仮処分」に関連して住民が大阪地裁で行った証言内容、及び仮処分における結果と問題点を報告する。なお仮処分の正式名は「イコール社の工場操業禁止仮処分命令申立」である。


■Mさん(イコール社から700mほど離れた住宅街に住む30歳代の女性)の陳述

 

 寝屋川市内には近隣のほかの市と違って山が無いので、緑地帯が極端に少なく、唯一と言っていい市内の緑地に現在廃プラスチック処理工場が建てられているのです。この場所が市街化調整区域として残されてきたのは、数少ない市内の緑地であったからではないでしょうか。

 

 付近を通りかかりますと、廃プラスチック処理工場が無機質に、突如として現れる異様さに、とても不自然な感じを抱きます。せっかく残っていた自然を削ってまで建てなければならない工場なのか、法律の例外規定を適用してまで建てなければならない工場なのか、どうして住民に何の説明も無く突然建てられたのか、とても疑問に感じます。

 

 工場見学された方は、初めから最後まで生ごみ臭、プラスチック臭、焼き場臭などいろんな悪臭が漂っていたと言われました。初めのお話では工場には煙突等の排気設備はまったく設けないので安全です、ということでした。それで私はIC工場のクリーンルームのような設備を想像していましたが、実際には工場内に機械が並べられている横にずらずらと換気扇が並び、工場内の空気をどんどん外に排出しています。その換気扇はただの換気扇で、排気を浄化する設備ではないのです。またプラスチックは手で選別するということでしたが、選別は大変難しいようでリサイクル率は相当低く、あとは産業廃棄物として焼却してしまうのではないかということです。

 

 これまでシンポジウムや本で、リサイクルについて、都市計画について、杉並病についていろいろ勉強しました。何十年も研究を続けてきておられる先生方が「このような廃プラスチックのリサイクルは大変難しい。この施設からは既知、未知の有害物質が出る恐れがある。」とおっしゃっていました。私たち住民は今、不安におびえています。空は仕切ることはできません。私たちは否応無しに廃プラスチック工場の排ガスを吸う羽目になります。私も含めて子どものために、少し不便でも良い環境のところへと引っ越してきた人々が大勢います。いまでは珍しいほど、公園や道路で遊ぶ子どもたちの姿がたくさん見かけられる地域です。子ども、お年寄り、病人など一番に空気汚染の影響を受ける人々が、たくさん住んでいます。

 

 今、少子化の時代、子どもは国の宝です。子どもは自分で自分の身を守ることができません。憲法で私達の生命は誰にも脅かされないと謳われているのではないでしょうか。どうか法律で私たちを守ってください。お願いいたします。