· 

杉並病、寝屋川病という病名について

 前回のブログを読み返していて、小さいことかもしれませんが、病名について改めて考えてみました。

 

 「杉並病」、そして「寝屋川病」という名前だけ聞くと、あたかもその地域が危険な場所なのでは、と感じる方はいるのではないでしょうか。何を隠そう、私もその一人でした。

 

 小学生の頃に熊本県の「水俣病」や三重県の「四日市ぜんそく」、海外ではウクライナの「チェルノブイリ原発事故」などを社会科の授業で習いました。当時小学生だった私は、大人になってこの地域に旅行に行くのは怖いなぁ、やめよう、と考えたことを思い出しました。社会科の授業の中でこういう歴史や原因を知ることで、同じ過ちを繰り返さないという教訓を学んでいるのだと、今になれば理解できるのですが、当時の率直な感想は「怖い。危険だから行ってはいけない。」の一点でした。

 

 ふと、これらの地域に住んでいる人口を調べてみました。

 

熊本県水俣市  約  2.4万人(2020年10月現在)

三重県四日市市 約 31.1万人(2022年12月現在)

東京都杉並区  約 57.1万人(2022年12月現在)

大阪府寝屋川市 約 22.8万人(2022年12月現在)

 

 現在はこれだけ多くの人が普通に生活しています。私は、普通に生活していることも知らずに、前述した病名を聞くたびに、当時の「怖い」という感情が何度も何度も掘り起こされてきます。

 

 この地域名付きの病名が使われ続けることで、いわゆる風評被害が今でも発生しています(少なくとも私の中で)。水俣病はメチル水銀化合物、四日市ぜんそくは硫黄酸化物という原因の特定がされていながらも、この地域名が使用されていることに個人的には大きな違和感を覚えています。

 

 杉並病については、津谷さんを始めとする研究者、被害者の会の方々は努力の末、大気に存在し得ない化学物質をキャッチしまし、因果関係は認められましたが、未だその原因物質は特定されておりません。一方、寝屋川病では行政がその因果関係すら認めていない状況です。

 

 他にも原因不明で発病する感染症や病気は存在します。水俣病も四日市ぜんそくも杉並病も寝屋川病も、そういった形で地名を排除した命名をすることはできなかったのでしょうか。

 

 直接の被害を被っていない私が言うのは無責任ですが、被害者への保証は大事です。壊された生活、苦しんだ時間は戻ってきません。その苦悩は私では計り知れません。しかしそれと同じくらい大切なこととして、平和で安心して暮らせる地域や未来を築いていくことではないかと思うのです。生まれた地、育った地、職場として訪れた地、親友が住んでいる地、いろいろな形で人が縁の地と関わりを持った時点で、もうその地は今自分の人生の一部なのだと思うのです。最近、そう感じるようになりました。

 

 問題のゴールがどこにあるのか。これすらも人それぞれ違うのだと思いますが、お互いがお互いの心情や立場を思いやって、合意点を探っていける世の中にしたいと思いました。