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住民に事前説明が無かった廃プラリサイクル施設計画

 八自治会長連名で寝屋川市長宛に説明会開催を要望するとともに、「住宅地の近くに廃プラのリサイクル施設が2か所も建設されるとはどういうことか?」と尋ねた。しかし市の回答には「説明会を4月10日にH公民館(定員350名)で行う。」としか書いていなかった。説明会開催を4月とした理由として、3月に市議会が開催され、説明会の準備ができないからとしていた。後にわかったのだが、その3月の市議会で二つの施設のうち「北河内4市リサイクル施設組合」の「規約」が、賛成多数で可決されていた。

 

 二つの廃プラ処理施設とは、4市(寝屋川市、枚方市、交野市、四条畷市)から集めた廃プラを圧縮・梱包し「ベール」と呼ばれる圧縮・梱包物をつくる中間処理施設である「北河内4市リサイクル施設組合」(以下、4市組合)と、4市組合から公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(以下、容リ協会)に申告されたベールを逆入札で受け入れ、再生品を製造する民間会社である「リサイクル・アンド・イコール社」(以下、イ社)を指す。

 

 この事業の最大の問題は、住民説明会が実施されずに施設建設が進められたことである。イ社の場合、特例による市長権限により、同年2月に行われた都市計画審議会の前に行うべき住民説明会が実施されなかった。4市組合についても、各市議会において「規約」を承認した後に寝屋川市が住民説明会を開催した。つまり、二つの廃プラ処理施設は住民への説明を行う前に、計画の一定の手続きが承認されてしまったのだ。

 

 イ社については他にも疑念がある。民間の再生品製造会社が受け取る処理費は全国どこの自治体であっても、まず容リ協会に処理費を逆入札し、安い処理費の民間再生品会社が落札する。そして容リ協会から落札した金額を処理費として受け取る。従って4市組合のベールが常にイ社で再生品にされるとは限らない。しかし4市組合と隣接していたイ社は、4市組合が2008年に操業を開始して以来、4市組合のベールをほぼ全て落札して事業を継続していた。

 

 4月10日の寝屋川市による説明会は、会場から住民が溢れる中で行われた。住民が「杉並病のようなことが起こる危険がないか。」と次々に質問したが、市は「寝屋川の施設が扱うのは杉並とは違うゴミだから、大丈夫」と繰り返すだけで、「説明になっていない!」と激怒する住民を残して退席した。そこで私は、自治会を中心に住民運動をはじめようと呼びかけ、大きな拍手で承認された。

 

 自治会代表の集まりで、A自治会長のM氏が代表に、D自治会長の私が事務局長に選ばれ、団体名を「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」(以下、「守る会」)とした。この内容は各自治会の役員会でも承認され、参加自治会は十数自治会に増え、住民運動が始まった。

 

 まず、ポスターと大きな看板が町中に貼りだされた。「守る会」事務局長である私が知らないうちにそういった自発的運動が進められ、市長宛てに「二つの廃プラ施設反対」の要望署名の実施が決まった。5月の連休を前に署名運動が遅れることを心配した私は、連休直前の早朝、班長のFさんと相談して、連休前に署名用紙を全自治会員に配った。そして署名運動が連休中から進められるよう、その日の午前に緊急班長会を開き、実行に移した。D自治会の動きは即日他の自治会に伝わり、連休前にいっせいに署名活動が始まった。